HOME > お知らせ > コラム > [コラム]レプタは今も

[コラム]レプタは今も

山本神父

レプタ(レプトン)という聖書に出てくる古代のお金の単位が、現在もギリシアに残っていると聞いて驚きました。一人の貧しいやもめが2レプタを献金したというマルコ福音書12章の有名な話の中で、既に「2レプタは1クアドランスにあたる」との説明が必要だったくらいだから、とうの昔に消えてしまったにちがいないと勝手に思い込んでいたのです。

それだけでなく、やはり聖書に登場するドラクマという単位も、2千年の時を越えて現代まで生きのびていました。正確には2002年、ECの多くの国の通貨がユーロに切り替わるまで、ギリシアの通貨はドラクマだったのです。

ユーロへの切り替え時に、それぞれの国の補助通貨の単位もセント(ユーロセント)に統一されました。ドイツのマルクとペーニッヒも、フランスのフランとサンチームも、みなユーロとセントになったのでした。しかし、その時、一つだけ例外がありました。ギリシアもドラクマはユーロに切り換えましたが、補助通貨の呼び名はセントを使わずレプタのままで通しました(1ユーロは100レプタ)。レプタという小銭がギリシアでは今日でも通用しているのです。

このことを知って、福音書の貧しいやもめの献金の話が、以前よりずっと身近に感じられるようになりました。1ユーロは百数十円とすると、1レプタは、日本に当てはめて考えれば1円玉か5円玉、せいぜい10円玉でしょう。貧しいやもめがその全財産である2レプタを神に差し出した姿の中に、十字架上で我が身をささげるイエスの姿が重なって見えてきます。そして、そのキリストに従っていこうとする弟子たち、さらには私たちの今日の生き方が問われてくるのではないでしょうか。

 

山本量太郎神父