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[コラム]無理に引き止める

シスター品川

ルカ福音書のイエスの復活を信じない二人の弟子の話です。希望を失った弟子たちは、エマオへの旅の間に出会った人に「一緒にお泊りください。そろそろ夕方になりますし、もう日も傾いていますから」と無理に引き止めた結果、旅人が食事の席でパンを取り、賛美の祈りを唱え、パンを裂いて彼らにお渡しになったので、二人の目が開け、この旅人がイエスだと分かった、という話です。 

もし、二人の弟子が無理に引き止めなかったら、この旅人は先に進んで行き、弟子たちは復活したイエスに出会う体験をしなかったでしょうか? 考えさせられる出来事です。

「無理に引き止める」という結構押しつけがましい提案が、イエスとの出会いには必要だったのです。ここで、二人の言葉を並べてよく見てみると、「一緒にお泊りください」「そろそろ夕方になります」「もう日も傾いています」となります。旅人のことを心配していますが、実はこの旅人ともっと一緒にいたいという思いも伝わってきます。

「そろそろ夕方になります」「もう日が傾いています」という言葉の中には、疲労困憊、誰かと共にいたい。安らぎと癒しを求める雰囲気も感じます。イエスに希望を賭けて来たのに、彼は十字架に架けられてしまった。失望している弟子たちの心境は、人生の長旅の終わり、日が傾いた時点に立っている心細さが伝わってきます。今こそ「一緒に」いて欲しい。その心が表現され、イエスに受け入れられ、彼は「共に泊まるために家に入られ、一緒の食事の席に着かれ」たのです。 

二人の弟子は、こうして復活したイエスに出会います。かなり強引に、「無理に引き止め」ました。結果としてイエスはこの弟子たちにご自分を現わされたのです。この強引さをイエスは迷惑に思われたでしょうか。 答えはきっと「いいえ」でしょう。イエスは失望してエルサレムから遠ざかっていく弟子を一人も失いたくなかったから、旅人の姿で一緒に歩き、聖書全体を語り、家に入り、食事の席に着かれたのだと思います。イエスの親心が伝わってきます。 

もしかして、あなたの傍に、今日も共に歩く方としてイエスはおられるでしょう。かなり強引に「一緒にお泊りください」と引き止めるのを待っていらっしゃるかもしれません。

 

Sr.品川ヨシ子