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[コラム]カンナ、大きく成長す

西川神父

70年間は草一本も生えることがない、なぜなら、爆心地から1キロメートル以内は、約8,000度の熱で照射され、鉄はおろか、陶器でさえ、熱で変形してしまうほどだったからです。原爆ドームを見ればわかります。しかし約半年後、芽を出し花を咲かせた植物があったのです。それはカンナだったのです。そのうち、完全に枯れたと思われていたアオギリや柳に小さな芽が出てきて、生きていることが分かりました。そのカンナの子孫が関口教会のルルドのそばで芽を出し成長し、花を咲かせているのです。

芽の付いた根をお預かりした時は、「ちゃんと育たないかもしれません。その時はがっかりなさらないでくださいとのことでした。何ヶ月たっても芽らしいものが出てこないので、もうダメかと思ったりしましたが、係りの方の手厚い保護の中で芽を出した時は感激でした。お預かりした四本のうち芽を出したのは三本でしたが、その三本は実にたくましく育ってきました。一月前には花が咲き始め、そのうちの一本は約1メートルに達し、赤い花を元気よく咲かせています。他の二本もつぼみ状態ですので二週間もすれば、カンナの花盛りになると思います。そのうち、株分けして、欲しい方に差し上げることも可能になるかもしれません。

8,000度の熱に打ち勝ったカンナが、あちこちに咲いて、核爆弾を追放するシンボルになればいいと思います。東京のようなコンクリートで固められた環境には花が一番似合います。裏道を歩けば、どの家の玄関脇にも小さなプランターが置かれ、上手に花が咲かせてあります。このような植栽は手がかかります。ちょっとでも手を抜くと、枯れるか、伸びきって他の植物の成長を妨げます。カンナは放っておいても伸びてゆく強い花です。これを他の植栽とバランスをとりながら育てるのは難しいかもしれません。でも面白い試みです。

あえて「被爆カンナ」という名前でカンナが広がってゆくのは素晴らしいことです。なぜなら、最悪の状況を乗り越える強い生命のシンボルだからです。神様がお与え下さった命は生き続けることでしょう。「もうダメだ」と、あきらめやすい人間に、もう一度、神様の力を見直し、信じるきっかけになることを願います。

 

西川哲彌 神父