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[コラム]隆ちゃんのような人

西川神父

その場その場には、目立たないけど、居なくてはならない人がいるものです。受付とか、電話番とか、ある程度、役割がはっきりしていて、居ることが当たり前のような存在と、居るのかいないのかはっきりしないけど、探したらどこかに居るような役割の人と二種類の人がいます。それも、無給のボランティアであったり、わずかながらでも有給であったり、いずれにしても、目立たないけどいないと困る人が、後者にあたります。

カテドラルに勤めて三十数年、敷地の中の隅々まで目を配っていた方がいました。数年前に体調を崩して、出勤が思うようにできなくなり、退職を余儀なくさせられた方、それが白柳隆明さんです。しばらくして、細々ながら働けるようになったようなのですが、「お役に立ちそうではないので」と復職を願うことなく、今に至っているのが現状です。

私が関口に着任したのが3年前でした。なにしろ、土をいじったり、草花を育てたりが好きなので、庭を見て回りました。だいたい綺麗になっていました。しかし、ところどころ、手が入ってないところもありました。それはそれでいい感じでした。そのうち、気がついたところから、草を取ったり、がれきを片付けたりしました。そこで、何か、仕事を中断したようなところに出っくわしたのです。なんだろうと思いましたが、とりあえずそのままにしておきました。

少しずつ気がついたのですが、仕事とは、白柳隆明さんがやっていたことで、彼が辞めたまま、そのままになっていたのです。そこに置いてあった鎌は錆(さ)び、スコップは土がついたままで放って置かれていました。ペンキは剥がれ、油は切れ、台車は錆び付いていました。信徒のIさんが草取りをしてなんとか収まっていましたが、いろんなものが、白柳さんの帰りを待っていたのです。

今更、彼に来てもらうことは無理でしょう。しかし、彼がいないことの損失は少なくないと思います。ちょっと油をさし、はげたところにペンキを塗り、倒れかかった棒を元どおりにするような仕事です。報酬は期待できません。しかし、庭や建物に絶えず目を注ぐ人が必要です。花や植木をやってくださってる方が何人かおられます。あとは、ペンキと油をやれる方です。そういう方こそ、居なくてならない方です。 

 

西川哲彌 神父