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せきぐち – 2012年11月号

神様を感じ、神様に仕え、人々の治療を行った
ルカ長尾榮一

パウロ 長尾整和

目の見えない父は、かなり若い頃から、いつとはなく、教会や神社に入ると神様が近くにいらっしゃる感じがしたり、お留守になっている感じがするようになったと語っていました。神様がいらっしゃるというのは、「神様の移り香」というか、「神様の残り香」というようなものを、その場の空気を胸いっぱい吸い込んで深呼吸をすると感じたらしく、「神様の香り」について次のように話していました。

「神様の香りがどんな香りかといえば、清清しい、透き通ったような薄くのばした伽羅の香りと言ったら言い過ぎだろうか。そういう場所では、クリスチャンの私だが、たとえ神社であっても、神様を感じて礼拝することになってしまう。不徹底な信仰心だと誹られそうだが、私は唯一神の存在を信じており、汎神論のようにどんなところにでも神様はいて、しかし、その香りは濃い場所も薄い場所もあり、同じ場所でも濃い時と薄い時があるのだ。」

父は日本初の全盲の医学博士で筑波大学教授を務め、1994年退官直後、ある実業家に鍼灸院を任されるも、何か月も無給で辞めざるを得なくなったのです。そんな時、知人から関口教会に行ってみなさいという勧めがキリスト教に接するきっかけとなり、色々なことが、突然好転し始めました。

父は1995年に関口教会で、母光与と共に洗礼を受けました。父は自宅で開業し、多くの司祭、信者の治療を行っており、単なる施術者としてではなく、カトリック信者として、自分の持っている知識や技術を活かし、具合の悪くなった人々を助け、励ましておりました。また岡田大司教様が理事長を務める社会福祉法人ぶどうの木のロゴス点字図書館の理事も務め、盲人史とカトリックが結びつく人物の研究をするなど、人生の後半をカトリックへ捧げたと言っても過言ではありません。

2011年12月13日膵臓癌で入院。病床では神父様に病者の塗油を施していただきました。神父様のお祈りと共に、それまでは胸にたまった水のために酷い咳で苦しんでいた呼吸がすーっと楽になり、まるで父が神様を近くに感じていたようでした。きっとその時父は神様の香りを胸いっぱい感じたのでしょう。

2012年2月14日 永眠、享年81歳

長尾榮一が最も心惹かれていた聖句はマタイ11章28~30節でした。

すべて重荷を負うて苦労している者は、わたしのもとにきなさい。あなたがたを休ませてあげよう。 (28)
わたしは柔和で心のへりくだった者であるから、わたしのくびきを負うて、わたしに学びなさい。そうすれば、あなたがたの魂に休みが与えられるであろう。 (29)
わたしのくびきは負いやすく、わたしの荷は軽いからである。(30)

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